――日本生命保険は中国の電機メーカーとの合弁生保会社を上海に設立した
2003年9月に折半出資で合弁生保会社、広電日生人寿保険を設立し、11月から業務を始めた。ちょうど半年たったところだ。エージェントは50人弱。内勤は約70人。パートナーの上海広電は中国で売上高4位の大手電機メーカーだ。
――生命保険ビジネスは日生が主導する
上海広電は保険事業に関してはまったく経験がなく、ノウハウや戦略面では日生側が主導的な立場にある。生保事業は利益が出始めるのに10年程度の時間がかかるが、出始めれば安定的な利益が得られるビジネスだ。日生にとっては10年、20年先を見据え、今のうちに収益基盤を作っておく先行投資と考えている。
――他社とは異なり、日生はいずれ保障性商品に力を入れていく
大きく分けて貯蓄性商品と保障性商品の2種類があり、現在の中国では貯蓄性商品が売れている。しかし、中国も中長期的には先進国同様、いずれ保障性商品が主流になる。消費者の保険に対する意識の変化には時間がかかるため、当面は両タイプを織り交ぜて売っていくが、基本は保障性商品としていきたい。広電日生人寿保険の場合、外資系で立ち上げたばかりであるため、貯蓄性の色合いが強い有配当商品はまだ認可を得ていない。今後、商品ラインアップをそろえていくが、有配当タイプは2004年中に認可を得たいと考えている。
――日生は団体保険事業の経験が豊富だが、中国ではまだ扱えない
外資系生保は規制により、まだ団体保険を扱えない。広電日生人寿保険を含め生保27社(開業済ベース)のうち、8社が中国系、19社が欧米系。中国では先行している欧米系も団体保険については開放待ちの状態だ。WTO加盟後の開放の中で2004年12月までに開放予定だが、明確なスケジュールは公表されていない。団体保険が開放されるときが、外資系にとって事業を進める大きな転機になるだろう。
――中国の保険市場としての可能性は
市場の将来性は大きい。ただ、先行している欧米系の外資生保もまだあまり利益が上がっていないようだ。現在は保険を販売するエージェントの量の確保が先行しているように思える。シェアで言えば、外資は2%程度で、残り98%は中国系。しかも中国系のトップ3社が90%を占めるような寡占市場だ。
――寡占色の濃い中国の生保市場にあえて進出する狙いは
将来の収益機会をつかむのが最大の狙いだ。日本は世界第2位の保険マーケットであり、まだ成長余力はある。しかし、その一方で、10年、20年かけて次の収益の柱を作っていく必要があると判断し、中国にも進出した。地域や分野でどこかに伸び悩みなどがあっても、日生グループ全体としてバランスよく成長するための布石だ。米国には1992年ごろから進出し、10年を経てようやく利益が出始めた。アジアではフィリピンやタイにも展開している。
――日生が持つノウハウを中国市場で生かしやすい分野は
団体保険はこれまでの経験が生きる分野だ。企業は優秀な従業員を確保するために、従業員福祉に力を入れてきており、期待できる。ただ、中国は1995年に保険法が制定され、1998年に中国保険監督管理委員会(保監会)が設立されたばかりで歴史的に浅い事情もあり、保険商品を取り巻く制度はまだ十分には整っていない。
――社会主義国の中国で、保険事業を展開するうえでの懸念材料は
一番は詳細なデータがそろっていないことだ。生命保険を商品として組み立てるうえで前提となる統計がきちんと整っていない。医療機関の統計や医療支出の金額などがわからないと、原価の判断が難しい。データが不十分なままだと、安全を見込んだ保険料の設定にせざるをえない。訴訟対応などのための判例の積み重ねといった条件もまだ整っていない。
そもそも生活保障のために死亡保険に加入するという発想自体も定着していない。所得レベルがまだ保険料を支払う水準まで達していないということもある。日本の1960年代の感じだろうか。そうした事情も考慮して、上海を進出先に選んだ。
――中国の経済成長は安定的に続くか
現在の8、9%程度の経済成長が急激に下がるとは思っていない。
(聞き手は村尾龍雄弁護士・弁護士法人キャスト代表)
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